
T o u r O f W E R O A D episode33
▪️ Tour of WEROAD episode 33▪️
季節はずれの猛烈な台風や大雨が大きな爪痕を残していく中、空気にも日々寒さが染みてきます。時折顔を見せる太陽の暖かさと、雨が引き連れる寒さが激しく交錯する池袋です。
現在、制作は池袋駅西口の北側で進行中。
トンネルを貫くテーマの、「金」「水」エリアに当たります。
ゆっくり眺めて見ると、ところどころに小さな金色の放物線のまとまりのようなものが視界をさっと横切ったり、おだやかなグラデーションがだんだんと小さな点になっていたり。
色彩の移ろいは、私に不思議な懐かしい気持ちを運んできました。
それは、小さな頃一人静かに、夕暮れとともに暗く変わっていく平野の景色を見た時のものでした。
どこまでが空で、沼で、木で、草で、私の指なのか。さっきまではあんなにはっきり分かっていたのにどんどん曖昧に変わり、最後真っ暗になる。太陽が地平の奥に去るごとに、全てが刻一刻と持っている色と温度を当たり前のように変えていく、小さな私にとっては不思議な時間でした。
見えていたものが見えなくなり、分かっていた境界が分からなくなるので、その頃は、「お日様がさようならすると、こっちのものも一緒に持って行く」と感じてましたが、真っ暗になって指と景色の区別がわからなくなるまで目を凝らして見続け、「うむ、わからなくなった」と確認して光の溢れる家に帰ることが、自分なりのけじめだと勝手に感じていました。
夕暮れの時間は、太陽の暖かさとそれを失う寒さや暗さが同居し、無数の色が煌めいて全ての景色の境界がぼやける時間。
それは今ちょうど私たちを包んでいる、秋から冬へと季節が変わる時の空気が持つ厳しさと似たもののように感じられました。
ずっと遠くに冬の足音を聞いたような気がしました。
* ウイ・ロード内部のイメージは、77mある全長が5区画に分けられている構造に着目し、古代中国に端を発する自然哲学思想である五行思想になぞらえて、各区画を「木」「火」「土」「金」「水」のセクションに振り分けています。五行説は、この5つの要素が相互に関係し、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するという考えが基盤になっています。
−参照wikipedia五行思想より。
文 minayuzawa