*2019年7月25日掲載分*

▪️ Tour of  WEROAD   episode 22▪️

 

 

時も風もゆっくりと流れる、とある日の夜更けのウイ・ロードにお邪魔しました。

たくさんの人が通り過ぎる時とは異なり、隧道の有り余る空間の中では色同士がほのかに響き合うような不思議な雰囲気が漂います。

 

 

まだ下地もついていないむき出しの壁と、植田さんの手が加わった天井や壁が向かい合っています。

 

 

ウイ・ロードの壁は、真っ白で塗りやすい四角いキャンバスの性質とは真逆(むしろキャンバスとしては困難な相手?!)なはずですが、植田さんの描画はコンクリートの壁の凸凹に自然に溶け合う表情が立ち上がっていました。

通常は画家の表現を主役にするための欠かせない脇役であるキャンバス-ウイ・ロード再生事業としての壁画制作は、そのキャンバスを描画によって主役に立ち上がらせる表現活動なのだと改めて実感し、目から鱗が落ちました。

この壁を愛しむ植田さんを思い出しながら目の前に広がる細かい筆のタッチや色使いを見ていると、植田さんが「再生」という言葉にいつも立ち返っていたその本質を垣間見た気がしました。

植田さんの表現は、その場所からにじみ出てきたもののようにも、また同時にそこを通り過ぎる人々が発したものが染み込んでいるようにも見え、心がゆらゆらと描画を通して壁そのものに向かっていく感覚を覚えました。

 

 

植田さんの天井描画と壁の描画は別の表情でこだまして、それはさまざまな時代の人の思いへとめぐり、また今の自分の中に戻りました。今の私自身も含めた数多の人々の思いは時空を超えて植田さんの描画で人知れず混ざり合い、意識の再生の気配すらしてくるようでした。

 

 

 

 

* ウイ・ロード内部のイメージは、77mある全長が5区画に分けられている構造に着目し、古代中国に端を発する自然哲学思想である五行思想になぞらえて、各区画を「木」「火」「土」「金」「水」のセクションに振り分けています。

*五行説は、この5つの要素が相互に関係し、その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するという考えが基盤になっています。−参照wikipedia五行思想より。

 

 

 

文 minayuzawa